【ISO17025】事業所の「方針」と「目標」の書き方
ISO17025が2017年度版に更新されたときに事業所の方針や目的も書かなければならないことが変わりました。以前からあまり審査の時には問題にならない部分だと思いますが、しらべる機会があったので記事に記録しておきます。
ISO/IEC 17025の要求はどうなってるか?
私は品質マニュアルの1に最高責任者の業務方針、2に品質管理者による業務目的を書いています。これについては以前記事にしましたのでそちらを見てください。
改定以前の17025:2005では4.2.2に方針と目標について「品質マニュアル内に明確に規定すること」要求されていました。具体的には次の項目を規定する必要がありました。
a)顧客へのサービス提供において,良好な専門職業務及び試験・校正の品質を守るという試験所・校正機関の管理主体のコミットメント
b)試験所・校正機関のサービスの水準に関する管理主体の表明
c)品質に関連したマネジメントシステムの目的
d)試験所・校正機関における試験・校正活動に関係するすべての要員に対し,品質文書に精通し,業務において方針及び手順を実施することの要求
e)この規格への適合性を守り,マネジメントシステムの有効性を継続的に改善するという試験所・校正機関の管理主体のコミットメント
JIS Q 17025:2005(ISO/IEC 17025:2005)
抽象的過ぎてなんだかよくわからないです・・・。
当社のマニュアルは審査のたびに方針と目標について指摘されその場しのぎの改定をしていたので、つぎはぎだらけになっていました。
それでも審査の際に方針と目標については、それらしい部分を指定して「明確に規定しています」と自己申告すればたいていの場合はOKになるんですが・・・。
ISO/IEC 17025:2005ではわかりにくい方針と目標ですが、ISO/IEC 17025:2017では一気に簡潔になりました。どのように書いてあるか紹介します。
8.2.2 方針及び目標は,ラボラトリの能力,公平性及び一貫性のある運営を取り上げていなければならない。
JIS Q 17025:2018(ISO/IEC 17025:2017)
だいぶわかりやすくなりました。方針に書き込まれなければならない要件は3つです。
- ラボラトリの能力
- 公平性
- 一貫性のある運営
「のある運営」は公平性にもかかるような気がするんですが、上記でよいとする意見が多いです。
方針と目標の具体的な書き方
製品評価技術基盤機構(NITE)が公開しているISO/IEC 17025:2017に対応した品質方針が示されています。次のリンク先の資料のP25あたりです。
上の資料では設定例となっていますが、目標はそのまま書いてしって良いでしょう。
1 品質方針の宣言 当事業所は○○(量目など)の校正業務を行うにあたり次の方針に従って業務を実施する。校正業務に関するすべての責任と権限を○○○(責任者の肩書)に付与する。 <品質方針> ①試験サービスの提供において、良好な専門職業務及び試験の品質を守ります。 ②試験サービスの高い水準を確保します。 ③試験活動に関係するすべての要員に対し、品質文書に精通し、業務において方針及び手順を忠実に実施させます。 ④JIS Q 17025への適合性を守り、マネジメントシステムの有効性を継続的に改善します。 令和〇年〇月○日 最高責任者 〇〇事業所長 〇〇 〇〇
目標は具体的数値の設定を推奨しているので、各事業所によって違うでしょうが、こんな感じです。
2 品質目標の宣言 当事業所は校正業務を行うにあたり、顧客の要求を満たし、登録を受けた範囲において登録基準に合致したサービスを提供し、継続的な改善を行うため、次の項目を目標とする。○○○(管理主体)は校正業務の能力維持のために、他の業務とは独立して校正事業を運営する担当者を○○(担当部)に配置する。 <品質目標> (例1)試験受注件数年間○○件以上 (例2)苦情件数年間△△件以下 (例3)認定審査において不適合0件 令和〇年〇月○日 品質管理者 〇〇事業所 〇〇 〇〇
私の事業所では目標の宣言は品質管理者が署名しています。
この両方の宣言を校正室の目立つところに掲示します。目標の共有ができます。