【自動車メーカー注意!】ISO/TS 16949はJCSSが絶対必要なので気をつけて!

2019年10月29日

近年、校正の現場でISO/TS 16949のことについて耳にすることが増えました。ISO/TS 16949とは自動車の国際的な品質マネージメント規格でありIATF(国際自動車産業特別委員会)が国際標準化機構(ISO)の支援を受けて策定したものです。

今回はこのISO/TS 16949がJCSSと非常に関係が深い規格なのでその内容について紹介したいと思います。

ISO/TS 16949とは

ISO/TS 16949は自動車のメーカーと部品サプライヤーの認証制度ですが、基本的にはISO 9001と同様の制度です。IATF の監督機関によって認証を受けた審査機関が自動車関連企業を審査し、ISO/TS 16949の要求事項を満たす企業はIATFの監督機関に登録される仕組みです。

自動車メーカーは審査によって規格に適合していると判断されたサプライヤーから部品の調達を行うことができる(調達が行いやすくなる)制度です。この規格は自動車メーカーの1次下請けだけでなくすべての下請け会社に要求されます。

ISO/TS 16949はIATFのメンバーである欧米自動車メーカー9社によって作成されています。残念ながらこの中には日本の自動車メーカーは含まれていません。

9社の内訳はGM、フォード、クライスラー、ダイムラー、フォルクスワーゲン、BMW、フィアット、ルノー、プジョーシトロエンです。国別に見ると米、独、仏、伊、英となります。

この内訳を見て違和感を感じませんか。例えば、フィアットやルノーよりも売上の多い日本企業にはトヨタ、ホンダ、日産が上がりますが、入っていません。その直後にも三菱、スバル、スズキ、ダイハツ、いすゞ、日野・・・もう書きませんけど、多くの自動車メーカーが存在します。

実はISO/TS 16949は2013年に第3版が制定されていますが、第2版のときは日本自動車工業会も参加していました。しかし、第3版では参加を見送っています。

これはどういうことか?なんか世界の自動車界の闇を感じずにはいられませんが、残念ながら日本自動車工業会不参加の理由は見つかりませんでした。しかし、今後日本のサプライヤーに対してもISO/TS 16949の要求が広がっていくでしょう。

ISO/TS 16949が計測管理に対して要求していること

IATF 16949:2016には次のような要求事項があります。

「組織が検査、試験、又は校正サービスに使用する、外部/商用/独立の試験所施設は…、次の事項のいずれかを満たさなければならない。

― 試験所は, ILAC MRA (International Laboratory Accreditation Forum Mutual Recognition Arrangement-www.ilac.org) の認定機関 (加盟機関) によって ISO/IEC 17025 又はこれに相当する国内基準(例として、中国のCNAS-CL01) に認定され、該当する検査、試験、又は校正サービスを認定 (認証書) の適用範囲に含めなければならない。校正又は試験報告書の認証書は、国家認定機関のマークを含んでいなければならない…」

ISO/TS 16949 7.1.5.3.2

ILAC MRAというのは国際試験所認定協力機構(ILAC: International Laboratory Accreditation Cooperation )が行っている国際相互承認協定(MRA: Mutual Recognition Agreement)のことです。日本ではこの協定によりJCSSロゴが入った校正証明書はISO/IEC 17025に認定された試験所が発行したものとして認められます。

私が気にしていたのはISO/TS 16949に登録されるにはすべての校正をISO/IEC 17025機関でやらないといけないのかどうか?ということでした。大きい工場ではすべての計器の校正を校正機関に出せないので自局で校正を行っています。そのような校正試験は認められるのか?

規格書では「検査、試験、または校正サービスに使用する、外部/商用/独立の試験所施設は…」となっていますので、すべての計器に対してJCSSロゴいり校正証明書が必要になるわけではなく、自局校正でも問題はなさそうです。

ISO/TS 16949 はISO 9001を補間する規則ですので、ここで校正対象となるのはサービスの適合を検証するために監視又は測定するための機器です。以前に記事にしたのでリンクを貼っておきます。

ISO 9001や14001と違うところは9001や14001は計測器のトレーサビリティを維持しておくことを求められているのに対し、ISO/TS 16949ではJCSS(ISO/IEC 17025)での校正を求められていることです。

具体的に言うと、9001や14001に使う計測器の校正ではJCSSロゴ無しの校正証明書でOKですが、ISO/TS 16949に使う計測器の校正はJCSSロゴ入り校正証明書をもらわないといけません。(自局校正除く)

まとめ

この記事では自動車業界のISO規格であるISO/TS 16949について紹介しました。ISO/TS 16949ではISO 9001や14001と同様に生産に用いる計測器の管理が必要になりますが、ISO/TS 16949が他の規格と異なる部分はISO/IEC 17025規格に準じた校正証明書を要求していることです。

私の知る限りこれはISO/TS 16949だけです。他の規格では9001のようにトレーサビリティを求めているだけで、JCSSロゴ入り証明書は求められていません。

たまたま日本自動車工業会はIATFに参加しませんでしたが、加わっていればトヨタを始め国内のメーカーに納品しているサプライヤーはすべてISO/TS 16949の登録を受けなければならなくなります。自動車に載る部品を作っている企業はすべてISO/TS 16949登録を受けることが求められます。海外ではそうなっているはずです。

日本の自動車メーカーではまだISO/TS 16949の厳しい計測管理は求められていませんが、今の世界の流れだと日本も必ず要求されるようになるはずです。そのときになって「JCSSってなに?」とならないように十分な準備が必要です。