リモートでJCSS更新審査を受けました

2022年1月25日

日本でのISO/IEC17025、いわゆるJCSSの審査は独立行政法人製品評価技術基盤機構、通称NITEが行っています。NITEの方針で非常事態宣言が発出している期間は現地での審査を行わないことになっています。

私の事業所は2020年度審査を受けたのですが、非常事態がこの先どうなるか分からないこともあり、リモート審査を受けました。

もしかするとリモート審査はこの先選択肢の1つとなるかもしれないので、リモート審査の内容について記録しておこうと思います。

リモート審査は楽か?

食事や入場許可など審査員が来ないという事で楽なところもありましたが、審査を全体的にみるとリモートの方が大変だったような気がします。

リモートで監査員が細かいことろまで見られなくなっている代わりに、細かい資料の提出を求められます。事業者が安易にリモート審査を選ばないように考えられているのかなという気もしました。

基本的に現地に来られるようならば、リモートよりも現地審査を優先させるようです。私の場合は現地審査直前に東京都が緊急事態宣言を発出してしまったので選択の余地がありませんでした。

リモート審査の事前提出資料

すでに申請時に内部規約等の資料は提出していますが、リモート審査が決まった時点でNITEから事前資料の提出を依頼されました。下は私が提出を求められた資料の一覧です。

規格書番号提出資料
14.2公平性に対するリスクの検討の履歴
26.2各要員の教育訓練に関する記録
36.2各要員の力量の監視に関する記録
46.2各要員の権限付与に関する記録
56.2力量の監視、権限付与に関する判断基準を明記した文書
66.6外部サービスの提供者の評価に関する記録
77過去の試験の記録(受付や証明書の写し等)
87.7技能試験の参加計画
97.9苦情処理に関する記録
107.10不適合、是正処置に関する記録
118.5リスクに関する取り組みの記録
128.6改善の検討の記録
138.6アンケートなどの記録
148.8内部監査の記録
158.9マネジメントレビューの記録
167.11.2ソフトウェアの妥当性の確認記録
176.4標準器の校正周期、校正年月日
186.4設備の修理記録
196.4標準室の温湿度の記録
206.4標準器の写真(型番、製造番号、校正シールが写るように)
21立ち合い校正の動画
リモート審査の事前提出資料

審査の申請時に事業所の「規則」関連の資料は提出させられますが、リモート審査の事前資料は「記録と履歴」という感じでした。

特にNo20の写真とNo21の動画は作成に5日以上かかりましたので、それだけで現地審査に来てもらったほうが楽だったと感じられます。

私も几帳面ではないので記録や履歴などは結構さかのぼって作ったものもあったので、それもけっこうな時間がかかりました。

リモート審査

通常の現地審査は審査員が2日かけて事業所内で審査を行います。リモート審査の場合、私たちと審査員がWEB会議で行ったインタビューは1日でした。

リモート審査の前に審査員は追加で提出した資料に数日かけて目を通していると思いますので、それを考慮すると二日以上審査されているのだと思います。

通常の現地審査の1日目は品質と技術に分かれて同時進行で審査を受ける形式が一般的ですが、リモート審査では1回線だけを接続し、NITEの品質審査員、技術審査員、当所の品質担当責任者、技術担当責任者の4人で会議をしました。

リモート審査では、現地審査と聞かれることはほとんど一緒なのですが、事前提出資料がありますので、資料の内容に関する質問が大半でした。

途中で標準器の写真に校正年月のシールが写ってないとかで、取り直し、メールしましたが、不足があればだいたい口頭で説明をして納得してもらいました。

会議は4,5時間で終わりましたので、最後に審査報告書の案をもらってリモート審査は終了になりました。

リモート審査後

リモート審査後は通常の現地審査とほとんど一緒です。

リモート審査終了時にもらった審査報告書には指摘事項1と懸念事項1がありましたので、指摘事項には是正処理の結果をつけて、懸念事項には是正処理の計画をつけて30日以内に提出しました。

いつもは審査報告の対応を出したらすぐに延長決定の連絡が来ていた印象がありますが、今回は結構待たされた気がします。

書類が手元に届いたら、受領確認のFAXを入れて、ついでにNITEの担当者に御礼のメールを出しておきました。

まとめ

今回はJCSSの維持・更新時にリモート審査を受けたことについて記事にしました。これから審査を受ける人のためにリモート審査について簡単に書くと

  • 現地審査と同じくらい労力はかかる
  • 事前提出資料が多い(動画撮影あり)
  • WEB会議ソフトによる審査は1日に短縮

という特徴があると思います。

なかなかコロナも収束しないので、今後リモート審査は行われると思います。この記事がリモート審査を受ける人の助けになれば幸いです。