自動運転技術の本命ベンチャー ZMPの技術を紹介

2019年9月27日

実は先日登録している転職サービス会社のエージェントさんがZMPの案件を持ってきてくれました。ZMPといえば自動運転の本命ベンチャー企業です。「おお、ZMPだ。」と思いましたが、残念ながら労働条件が希望と合わなかったので見送りました。

そういえばZMPは技術の会社ですが、このブログでは取り上げたことがなかったです。いい機会になりましたので今日はZMPの技術について紹介します。

上場直前までいったIPO

株式会社は会社の事業資金を調達するために株式を発行して投資家に買ってもらいます。IPOは株式を1番はじめに取引所に上場するときに、新規に公開する株式を抽選で販売することを言います。

日本のIPOはたいてい購入金額よりも初めての株価の方が高くなるので、一種の宝くじのような感じです。私も初めてIPOの抽選に当選したときは数十万円の利益を得ることができました。

ZMPは2016年12月上場予定のIPOを計画していました。しかし、11月の上旬に顧客情報の流出事件が見つかり、ZMPの意向でIPOが中止になっています。

このときのIPOはかなり前からすごい注目されていました。ZMPのテーマは自動運転ですが、この頃ディープラーニングが話題になり、NVIDIAなどのディープラーニング株が高騰していました。

自動運転はディープラーニングの1番の応用分野です。またIPOの募集価格も750円くらいが想定されていて、参加のしやすさなども加わり2016年では最大のIPOと言われていました。

確か、抽選まですでに終わっていたと思います。前評判ではいきなり10倍近い価格がつくのでは?と言われていたので、当選されていた方は残念だったでしょう。御愁傷様です。

ZMPの技術

このように日本の投資家がお祭り騒ぎになったZMPですが、具体的にはどのような技術を持っているのでしょうか。

ZMPは2001年の創業以来たくさんのロボット製品を送り出しています。その中でも中核となっているのが自動運転技術です。ZMPは実車に自動運転技術を搭載した「ロボカー」の実証実験を全国で行っており、ロボカーの生産総数は360台を超えています。

国内でもすでに自動運転の研究を開発している企業はありますが、ZMPのように10年以上の開発経験があり、かつハードウェア、ソフトウェアの両方を自社開発している企業は大手の自動車メーカーを見てもありません。

自動運転開発プラットフォーム IZAC

ZMPは自動運転の研究経験を活かして自動運転の開発プラットフォームを製品化しています。このぷらっとフォームはZMP製のコンピュータを中心に、その他のいろいろな拡張コンポーネントから成っています。コンポーネントは次のような種類があります。

  • Vision ー パターン検知 白線検知
  • LIDER ー 物体検知(2D 3D)グリッドマッピング
  • センサー ー 自立航法など
  • 位置推定 ー VisionとLIDERからのマップマッチング
  • 経路 ー 経路生成
  • 車両制御 ー はしる、止まる、曲がる
  • 開発ツール ー ロギング モニタリング

自動ブレーキを例に取ると、スバルのIサイトは画像解析(Vision)でトヨタはセンサーを使用しています。

IZACはこれらのコンポーネントを追加して車の自動運転機能を開発していきます。ではそれぞれのコンポーネントがどのように相互につながるかというと次のような図がありました。

GPSとカメラからの静的物質の検出により、Pose(位置情報と方向情報)を計算しています。またカメラとLIDERの画像を融合させて緊急停止の情報を作っていることがわかります。

挙動生成、経路生成、挙動修正、緊急停止を組み合わせて車両挙動を生成していますが、1番右のPrius Feedforword Controllerとは?Priusだけですか?

完成度の高さを伺わせるのは、それぞれのコンポーネントではワードウェアとソフトウェアが必要になりますが、両方共ZMPからリリースされています。もちろん開発プラットフォームなので最終的に自社開発になると思いますが、ZMPの完成品があることで開発初期のスピードがあがるわけです。

更に、走行データの取得システム ロボテスト

自動運転技術に実現には自動運転自動車の他に、今まで以上に正確な道路情報が必要になると言われています。また決まった経路を走る車両の自動化では、特定の機材、運転技術などに特化した情報を取得する必要があります。

ロボテストではこのような情報の収集、分析、それらのデータをもとにした自動運転システムの開発をアウトソースすることができます。

ロボテストの面白いところは自動運転システム開発の外注なので、路線バス会社など開発部隊を持たない企業が自動運転化のためにZMPに開発を発注することができるんです。

例えば、決まった経路の自動運転システムを開発する際は、それにあった車両や機器をZMPが用意(開発?)します。またドライバーの研修や走行計画、なんなら自動運転の許可申請や特区の申請などもやります。この辺は技術というよりもノウハウですが、ZMPならではです。

いくらトヨタや日産が自動運転を研究していると言っても顧客に対して自治体の走行許可の申請を代行することはできないでしょう。

まとめ

ZMPのIPOまで話を戻すと、IPO中止の理由は顧客データ流出によるもので、社内体制を見直しのためにIPOを中止するとのことでしたが、そろそろ準備ができたんじゃないです?またIPOを行えば、あの時と同様にお祭り騒ぎになれると思います。私のIPOチャレンジポイントも溜まってきていますし。

自動運転の時事ネタでは、アメリカの電気自動車の大企業テスラは2020年にレベル5の完全自動運転タクシーを展開するようです。レベル5というのは運転のどんな状況でも人間を必要としないレベルです。やはり自動運転のテクノロジーはアメリカが進んでいます。

自動運転は道路情報もアップデートしないといけないので、アメリカで実現したからすぐ日本というわけにはいきません。アメリカのテスラと同じように日本のZMPとなってほしいと思います。でもそしたら転職の話を断ったこと後悔しそうだなぁ。