5G通信の注目企業 エリクソン
5Gの注目銘柄3回目です。1回目が村田製作所、2回目がアンリツでしたが、3回目は海外銘柄、スウェーデンの通信大手エリクソンです。
エリクソンといえば先日ソフトバンクの通信障害の原因となっていました。通信障害は4時間ほどで、原因はルーターソフトウェアの証明書のエラーだったようです。
この障害は世界の複数の通信会社で起こっているようで、裏を返せば、エリクソンの通信機器のシェアが分かる事件となりました。
エリクソン社の業績
5G市場の伸びを計るには企業業績から読み取るのが簡単です。エリクソンの業績はどうかというと、実はここ数年は非常に低調で5Gの勢いを疑う内容でした。
しかし、アナリストの判断は私たちとはむしろ逆で、エリクソンの主要な顧客である通信大手各社は5Gの規格の策定を目前にして新規の通信インフラへの投資を抑えていたことが、業績低調の原因だそうです。
その中で2018の第三四半期の決算発表では売上総利益が37%、営業利益率が8%と改善が見られました。内容を見るとアジア、オセアニア圏では売り上げは低下していますが、北米、ヨーロッパでは逆に増加しています。特に北米は前期比10%増になっていて、この主要な要因が5G投資と見られています。
データを分析すると5G投資はまだ初期の段階です。現に北米の売り上げ増加分は個人の屋内のネットワーク向けの機材ではないかとされています。エリクソンの主要顧客は大手通信会社ですからね。実際にこれらの通信会社からの需要は2025年までに35兆円に達するといわれています。
エリクソン社の技術
エリクソンは 「ストリートマクロ」(マイクロセルか?)と呼ばれる基地局の製品を生産しています。28GHz帯の無線は、高速大容量の通信が可能ですが、反面、直進性が非常に強く地形や建物などの障害物を電波が回折しにくいため隅々まで通信エリアを広げるこことが難しくなります。ストリートマクロは道路沿いに簡易な基地局を多く設置していくことで、その道路上すべてをカバーエリアにすることができるようになります。
また、5G導入初期は5Gの通信エリアは一部に限定されるため、現行のLTEはLTEとして高速化を図っておかないと、ユーザーは通信速度のギャップを不満に感じてしまいます。こうした状況を考え、エリクソンの基地局は20MHz幅で5回線をつなぎ合わせるキャリアアグリゲーションを行い、下り最大2GbpsのLTEもサポートするようです。
下り最大2GbpsのLTEは、2018年内にオーストラリアのテルストラが導入する予定で、NETGEAR製のWi-Fiルーターがこの技術に対応し、チップセットのサポートはクアルコムが、ネットワークをエリクソンが担当します。
5Gには、利用するユーザーの要件に合わせてネットワークの機能を変える、ネットワークスライシングという仕組みがあります。超高速通信は必要だが、遅延はあまり必要ないというケースと、とにかく遅延だけは避けたいというケースを両立させるため、ネットワークを分割(スライシング)して通信を別々に処理します。
例えば、工事現場の建機の操作において、映像を送る高速なネットワークと、建機を遠隔操作する低遅延のネットワークの両立などが考えられます。
国内企業との関係
エリクソンは2018年10月に富士通との業務提携を発表しています。5Gにおいて戦略的パートナーシップを結ぶことで合意しています。業務提携は5Gネットワークおよび関連サービスに関して行われるようですが、詳細はまだ発表されていません。まずは国内の通信各社をターゲットとして、海外の通信企業にもサービスを展開する予定です。
まとめ
私たち一般ユーザーの目に触れにくいですが、エリクソンは5G通信の重要な通信機器を提供しています。海外企業ですので、投資テーマとして捕らえるならば、エリクソン本体よりも提携先の富士通がよいかもしれませんね。