ISO/IEC 17025 (JCSS) 7章解説 校正試験の方法

2019年10月29日

ISO/IEC 17025の逐条解説もやっと7章まで来ました。7章はプロセスについての規定ですが内容は大量にありますので重要な部分だけをピックアップして説明したいと思います。

まずはこの記事では「試験方法の選定」について説明します。

方法の選定及び検証

電気計測器の校正試験は試験機の種類によっては2,3とおりの校正試験のやり方があります。それぞれ精度が高いとか、コストが低いとかありますが、認定校正機関は適切な方法で校正試験を実施することが要求されています。(7.2.1.1)

もちろん顧客が校正試験の方法を指定してくれば、それに従うことが基本になりますが、その方法もちょっとおかしかったり、古い方法であれば、おすすめの方法を教えてあげる必要があります(7.1.2)。まぁ、それでも顧客がその方法でやるという場合には強制はできないのですが。

ここで校正試験の「適切な方法」が何なのかが大切です。ISO17025が推奨する方法は次のようになっています(7.2.1.4)

  • 国際規格、地域規格もしくは国家規格のいずれかで発表された方法
  • 定評ある技術機関が公表した方法
  • 化学文献もしくは定期刊行物において公表された方法
  • 設備の製造者が指定する方法
  • その校正機関が開発又は修正した方法(推奨ではない)

私の事業所の「古文書」といわれるコーナーに産業計測標準委員会(JIMS)発行の直流低周波計測器校正方法(1977年)という本があります。昔はこのように共通の技術書があったみたいです。

昔はどのメーカーの測定器も機能的には大差がなかったのでこのような技術書が作れました。現在は特定の産業や製品に特化した計測器が多く、なかなか全体を説明するような技術書は見当たりません。

そのような中で適切な校正方法をどうやって確立していくかというと、私は校正担当者の研修会などを活用するのをお勧めします。

特に、定評ある技術機関の研修であれば、まず問題ないでしょう。電気計器の校正であれば、日本電気計器検定所の研修がいいです。バッチリ定評ある技術機関に当てはまります。

選択した方法の妥当性確認

ここまでに説明で校正方法の決定については大体OKだと思います。大抵の校正は校正方法が明らかだと思いますので、決定の方法については重要度は高くありません。どちらかというと決定した方法の検証の方が重要です。17025では妥当性確認といっています。

何かしら権威のある書物やISOに書かれた方法ならば妥当性は確認されたとして構いませんが、ちょっと怪しい方法だと妥当性確認が必要です。怪しい方法とはどんなものかというと次の例が挙げられています。(7.2.2.1)

  • 規格外の方法
  • 試験所・校正機関が開発した方法
  • 規格に規定された方法であって意図された適用範囲外で使用する方法
    (ゴムの絶縁試験で樹脂をやるとか)
  • 妥当性が確認された方法に対して変更がなされたもの

妥当性が確認された方法であってもマイナーの物については一応妥当性確認をやっておいた方がいいでしょうね。監査の時に指摘されると、妥当性確認は時間がかかるので30日の対応期間中に実施できないかもしれません。

ではこれらの怪しい試験方法の妥当性確認はどのようにやるかというと、これも17025に記載されています。(7.2.2.1)

  • 標準器または標準物質を試験してみてOKか確認してみる
  • 試験を系統的に評価してみる(不確かさの算出と同じような感じ)
  • 試験のパラメータを振って、試験のノイズ耐性みたいなものを評価する
    (これだけだと不十分だろうなぁ)
  • 妥当性が得られた他の方法と比較する
  • 試験所間比較
  • 原理、実験、経験に基づいた不確かさの評価をする

これらの評価は単体又は組み合わせでやると書かれていますが、「試験所間比較」については17025認定前に必ず受けなければならない「技能試験」(7.7.2.a) に相当します。

技能試験をパスしていれば、改めてその他の項目を試験する意味は薄いです。ですので、新規に登録を目指している事業者は、技能試験をやればその他は特にやらなくていいのかな~と思います。

妥当性確認の記録

妥当性確認に関しては次の記録を保持しなければなりません(7.2.2.4)。これらの記録はその方法を使用している限り、ずっと保持します。

  • 妥当性確認の手順
  • 要求事項の詳細
  • 方法のパフォーマンス特性の確定
  • 得られた結果
  • 意図した用途に対する方法の適切性を詳述した、方法の妥当性に関する表明

私の場合は妥当性確認は日本電気計器検定所の技能試験で行いました。ここで注意ですが、技能試験を受ける前には必ず試験手順書を作っておきます。手順書があれば黒ポツの手順と詳細はOKです。

手順書に書かれた試験方法で技能試験を受けます。試験の結果には必ずOKかNGかの判定が付きます。私の場合はEn数でした。これがパフォーマンス特性と得られた結果になります。

最後の黒ポツの妥当性に関する表明について、手順書があればその方法が妥当だと言っているのと一緒なので特に表明は不要だと思いますが、心配であれば、手順書の最後の方に「この試験方法は○○年実施の技能試験結果により妥当な方法である」と書いておけば良いかと。

まとめ

この記事ではISO/IEC 17025の7章の試験方法の決定について説明しました。試験方法について一言で言うと、試験方法は試験装置のマニュアルに記載の方法に沿った手順書があって、技能試験にパスしていれば、特に難しく考える部分はありません。

まあ、この辺の記録はトリッキーな試験方法をしていなければ特に突っ込まれません。ここに時間をとるなら不確かさの根拠を充実したほうがいいでしょう。