【JCSS登録更新!】実際の審査のスケジュールはこんな感じ
今年は私の所属する事業所のJCSS更新審査の年でした。そういえば審査の内容について紹介したことが無かったと思うので、これから初審査の人向けに審査の流れを紹介します。
登録更新申請書の提出
初回の登録審査と登録更新審査の審査内容はほとんどい同じです。どちらも最初に登録申請書を 製品評価技術基盤機構(NITE) に提出します。登録申請書と申請書類一式については記事にしたことがありますので参考にしてください。
初回登録審査の時は登録申請書(様式81の1)、それ以降の更新審査の時には登録更新申請書(様式81の2)を提出します。更新審査の場合は登録免許税がないので審査料が少し安くなります。
一番最初に申請書を出すわけですが、本当に初めの人はNITEに連絡して担当を決めてもらった方がいいでしょう。最初は提出書類の体裁の不備とかチェックされますので、ある程度NITEの担当者と連絡とりながら申請書を作った方が無難です。
審査チームの編成と通知
申請書がOKということになると審査チームが編成されます。普通はチームリーダー1人と技術アドバイザー1人です。事業所が大きくなるとこれが数人になるそうですが、私の時は2人でした。
審査チームは申請者に書面で通知されます。審査チームの編成に不満がある場合は審査チームの編成を見直してもらえます。私も以前に知っている人が審査チームになったことがありました。(知っているといってもあいさつした程度ですが)
技術アドバイザーは企業の人かOBが選ばれることが多いようです。私は電気の領域で認定を取っていますが、日本電気計器検定所の人が技術アドバイザーになることが多いです。まあ日電検は電気校正の総本山ですからねぇ。規模でいえば産総研より大きいですからねぇ。
異議申し立ては10営業日以内となっていますが、特に問題なければすぐに回答しましょう。意義が無いことが確認できないと審査員は次の作業をさせてもらえないので、無駄な時間を使ってしまいます。
提出書類に対する質問書と回答書
審査チーム編成に問題が無ければ審査員は申請書と一緒に提出した書類の審査に入ります。提出書類がJIS Q 17025の要求に適合しているか確認します。要求に対して不十分な個所があると「ここはどうなってるの?」と質問書にまとめて送ってきます。
私の手ごたえだと質問書の質問は大体10~40くらい送ってきます。過去にコンサル企業に内部監査をやってもらったことがありましたが、その時は質問が300出てきて泣きました。NITEは優しいと思います。
質問書をもらったら20営業日以内に回答書を送り返します。
回答書の内容は、この時点では是正命令でなくて質問に対する回答なので、「○○の規則については○○と解釈していましたので現状のように運用しています。」と言う程度がいいかもしれません。同時に是正処理の準備もしっかり進めておきます。
現地審査のスケジュールの決定
質問書・回答書と前後して現地審査の日程を打ち合わせておきます。だいたいは平日の連続した2日間になります。できるだけ最高責任者がいる日を選びますが、必ず出席しなければならないわけでもありません。最高責任者がいないときは品質管理者が代理できます。(サインするところとかあるので)
現地審査の日程は登録が切れる2か月以上前にすると良いと思います。登録期限まで2か月を切っていると結構忙しいと思います。
日程の決定に関しては特に提出するものはありませんので、日程に余裕が無い場合はこちらから積極的に日程の話を切り出します。メールか口頭ベースで日程が決まった後に、審査チームから現地審査スケジュール表が送られてきます。
スケジュール表にはだれがどこの規定を審査するかとか、模擬校正に何をやるかなど書いてあります。この時点でだれがどこを担当するか決めて、各自の担当分野をしっかり準備します。準備することはけっこうありますが頑張りましょう。
現地審査当日
審査初日
いよいよ現地審査当日を迎えます。審査は9時半から開始になります。システム管理者と技術管理者が別々の場合は審査は同時進行で進みます。私は午前2時間半、午後2時間半の日程でした。
審査の内容は何の順番に進んで行くかよく分かりません。審査員が次々質問してくるので答えていきます。だいたいは資料の確認です。申請のときに品質マニュアルを提出しますが、記録を提出する義務はないので記録の確認作業が多いです。
優しい監査員だと午前中に不足している資料について午後また確認し直してくれます。事前に用意してあるのが一番いいですが、昼休みに準備するってこともできます。
一日目はほぼ内部の規定文書や記録の確認で終了です。
審査二日目
二日目は一日目の不足分の確認から始まります。今回の監査では一日目に見つからない書類を監査員が帰ったあとに急いで作りました。その資料にOKもらって不足資料の確認は終了です。
二日目は確認が終わったら模擬校正になります。模擬校正になにをやるかは事前にもらうスケジュール表に書いてありますのでしっかり準備しておきます。
模擬校正中は技術アドバイザーが後ろからずっと覗き込んで見てますので緊張します。できるだけ手順書に忠実に一つ一つ確認しながら操作しましょう。
模擬校正の試験が終わったらその結果を校正証明書にします。この手順はいつもやっていることと一緒だし、うしろから覗かれることもないのでササッとできます。証明書を渡して一通りの現地審査は終了です。
このあと審査員さんたちは現地で審査結果をまとめます。手書きで報告書を作って最終ミーティングで提示してくれます。審査の結果に納得行かなければここでゴネることもできますが、だいたいは審査中にやり取りのあった内容について書かれるので、双方が納得行く結果が出てくるはずです。
報告書に問題なければ署名を入れて現地審査は終わりになります。
是正報告書
現地審査の報告書は当日手書きのものがもらえるのですが、後日郵送で正式に送られてきます。報告書の中に不適合事項がある場合は是正報告が必要になります。報告書を郵送で受けった日から20営業日以内に是正処置を行って報告書を返送します。
たいていの場合、是正処置の際に内部の運用規定に変更があると思いますので、規定を変更した場合は是正報告と一緒に(あとでも構いませんが)申請書訂正願を提出します。これは一番最初に出した登録更新申請書内容を訂正するものです。
評定員会
是正報告書を提出して2週間から1ヶ月後にNITEで評定委員会が開催されます。この評定委員会で審査結果と是正処置報告を見て登録または更新の最終判断がされます。
ほとんどの人が勘違いしていますが、JCSSの登録更新を審査するのは評定員会の委員です。現地審査に来た審査チームは評定員会では説明側になります。つまり私達審査される方の味方になるんです。だから現地審査で審査チームにゴリ押しして認めさせても、評定員会で登録更新が認められないケースはあります。
審査チームは審査される事業者側の味方ですので包み隠さずいろいろなことを相談してもいいと思います。ただし、審査チームはコンサル行為はできないという大前提がありますので、程度の問題はありますが。
登録書発行
評定委員会で登録更新が認められたら登録書・認定書が発行されます。今までの登録書・認定書は返送します。だから登録書・認定書はなくさないようにしましょう(当たり前だけど)。
まとめ
今回はJCSSの登録更新審査の進め方について紹介しました。ざっくりですが、順番に言うと
- 登録更新申請書の添付書類の書類審査
- 現地審査
- 評定員会
の順番で審査が進みます。
初めての審査は未知のものなのでとても不安です。私も十円ハゲができるほどストレス感じましたが、1回経験するとなんにも感じなくなります。恐怖を感じる人は審査チームが味方だと言うことを意識してみてください。
特に初めて審査を受ける担当者の皆さん。心配いりません。審査うつとかにならないようにね。