JCSS登録の最難関、”現地審査”をどう乗り切るか

2020年7月19日

ISO/IEC 17025いわゆるJCSS制度は計測器の校正事業者に対する制度です。JCSSに登録されるとJCSSのロゴの入った校正証明書を発行でき、これが校正事業者の能力の証明になっています。

登録の手順については以前記事にしたことがありますのでこちらを見てください。

JCSSの登録を得るには審査を受けなければなりません。審査の中で特に「現地審査」は初回審査や新任担当者にとっては胃に穴が開くほどのストレスです。

この記事では現地審査の内容を紹介して現地審査初体験の人に少しでも平静に審査を受けてもらう方法を紹介します。

現地審査の準備

現地審査の日程は審査の過程で校正事業者と審査チームの間で話し合いで決められますが、現地審査の数週間前になると現地審査のスケジュールが送られてきます。現地審査は通常2日ですが、スケジュールには2日のどの時間に規格書のどの審査を行うかを記載してあります。

現地審査では事前の書類審査ではっきりしなかった部分、必要な記録や使用機器などの確認があります。現地審査が始まる前にこれらの必要なものはしっかり準備しておきます。特に必ず確認されるものを上げておきます。

校正シール

校正業務に使っている標準器は必ず校正年月日と校正有効年月なりません。審査員は必ず機器一覧にある機器があって校正されていて校正シールが貼られているかを確認します。標準器の試験記録と矛盾がないように確認しておきます。

教育訓練の記録

最近は教育訓練に関してとってもうるさく言われるようになりました。要因に機器操作や試験実施の権限を与えた場合、どのような基準に従って権限付与したか証拠を求められます。権限を付与した場合はどのような試験を受けて何点取って合格したのかまで見られます。合格基準が曖昧だと不適合の判断をされる可能性があります。

校正証明書の写し

これは過去に不適合にされたものが多かったケースです。17025では校正証明書にサイン又は印を押すことを要求していますが、これを確認するためには証明書のコピーしか方法がありません。依頼者に証明書を渡す前に必ず写しを取って保存しておきます。

その他にも規格書に書いていることはだいたいチェックされると思います。初回の審査の場合はできれば経験者に話を聞ければ良いでしょう。

審査員に対する考え方

だいたいの審査員は重箱の隅をつつくような質問をしてきますので審査を受ける方から見れば認定を妨げる敵くらいに見えると思います。しかし、審査員や審査チームはどちらかというと審査を受けるこちら側の仲間だということを理解しておきましょう。

審査員は現地審査が終わってから報告書を作成し、審査を受ける事業者が認定にふさわしいかふさわしくないかをNITEの評定委員会に報告しします。

この際に評定委員に対して審査の詳細を説明するのは現地審査を行った審査員です。うまく審査員と信頼関係を構築して評定委員会を有利に進めてもらうことが重要です。審査員を敵視して不適合を突き返すなんてやっちゃいけません。

私は現地審査は非常に良い教育の場だと思っています。校正事業に関する書籍や情報は世の中に少ないので校正事業者は孤立しやすい立場ですが、現地審査では他者のやり方を聞くことができるからです。

実際は審査員はコンサルタント業務を禁止されているのでなんでも答えるわけにはいかないのですが、「どの水準までやればいいのですか?」とか「一般的にどう運用されているんですか?」くらいの質問には答えてくれそうな気がします。

「審査員がコンサルタント業務をしてはいけないことは重々承知なのですが・・・」と切り出して口頭で「お願いします。教えて下さい。」と小声で聞けば、何かしらヒントは出してもらえます。

ISOはPDCA

日本企業は失敗を許容しない考え方が強いですが、ISOはPDCA(Plan, Do, Check, Action)を重視し、失敗よりも改善の過程を重要視しています。

ですので、現地審査の結果で「不適合」が付いたとしてもそれは失格という訳ではありません。1ケ月以内に改善案を提出し、不適合が解消されれば、認定は更新されます。

不適合を怖がりすぎることはありません。逆に簡単な不適合を用意しておいて、事前に準備してある改善案に誘導するくらいのテクニックが必要です。

私なんか現地審査で審査員に「この不適合に関しては、・・・みたいな着地点を考えていますが、良いですか?」くらいまで意思疎通しておきます。たいていの審査員は良いとも悪いとも言いませんが、雰囲気である程度分かります。

現地審査の審査員とある程度戦略を共有できれば、後はルールに沿って処理していけば問題ありません。「聴いてないよ~」というサプライズも起こりません。大事なことは審査員を仲間にしておくことです。

まとめ

この記事ではJCSS認定の過程で行われる現地審査の乗り切り方を紹介しました。

どんな優秀な担当者でも初めの審査では胃がキリキリするほどのストレスを感じるものです。私もリクナビに履歴書を送りました。

でもJCSSの審査は全然怖がる必要はありません。むしろ校正事業を改善するための手がかりにすることができます。

新任の校正担当者がこの記事を読んで少しでもストレスを減らしてくれればいいなと思っています。