半導体製造業の先行指標ー東京エレクトロン

2022年7月15日

先日半導体製造装置メーカーの友達と食事に行ってきました。その彼がすごい高給取りで半導体製造装置メーカーすごいなーと思ったので半導体製造装置メーカーについて調べてみました。

主力製品と半導体市場の関係

今日は東京エレクトロンです。東京エレクトロンの主力製品は半導体製造装置、フラットパネル製造装置、電子部品ですが、売上の9割以上は半導体製造装置です。電子部品の製造販売は販売している製造装置の保守部品かもしれません。半導体製造装置では国内首位、世界では3位です。

東京エレクトロンは半導体の市場に先行して株価が動くと言われています。これは半導体製造装置の設備投資と会社の売上に相関があるからです。

実は2019年は半導体、フラットパネルともあまり業績がいいとはいませんでしたが、最高益を達成しています。しかし、2019年以降の予想では半導体の市場が伸びず設備投資が進まないと予想されているので厳しい状況にあります。

今後、販売した装置のメンテナンスや保守部品で業績を維持する予想になっていますが、いずれにせよ半導体業界の景気次第です。

半導体製造の工程と技術

世界中の人が半導体を使っていますが、半導体の製造方法を知っている人は世界でも一握りの人間ですよね。私も専門では無いんですが、半導体製造の工程をざっくり説明します。

レジスト塗布

半導体基板上に酸化膜を整形し、その上に光により変質するレジスト感光剤を塗布する

露光

レジストに半導体のパターン通りに光を当てレジストを変質させる

現像

変質した部分のレジストのみを溶解させる。溶解させた部分は半導体基板がむき出しになる。

エッチング

むき出しになった半導体基板をレーザーで削る。レジストがついている部分は削られず残る。

イオン注入・アニール

むき出しになっている基板に対して不純物を注入する。不純物の種類によりN型P型の半導体になります。

剥離

レジストを剥離する。

半導体を製造するには上記のような工程がありますが、これらは順番に行われるのではなく、それぞれを組み合わせて複雑な半導体のパターンを積み上げていきます。各工程に専用の機器が必要で、東京エレクトロンはこれらの機器の製造を手がけているわけです。

ナノメートルのゴミを除去する製造技術

現在の半導体の製造プロセスは数ナノメートルから10ナノメートル程度ですが、これはウィルスの大きさよりも小さいです。つまり半導体の表面にウィルス程度のゴミがついていると不良品の原因になるんです。

身近なもので例えると、野球場の中に砂粒が一つも落ちていない程度のクリーン度です。半導体製造装置というものはこの砂粒のようなゴミ(パーティクルという)との戦いです。製造工程でいくらでもゴミが出るような気がするんですが、大丈夫なんでしょうか。

東京エレクトロンはこのパーティクルの研究を行っています。半導体はパーティクルが少ないクリーンルーム無いで製造されますが、クリーン度が上がると外部から侵入するパーティクルよりも内部で生成されるパーティクルが問題になります。

東京エレクトロンの研究により、そのようなパーティクルは空気の加減圧の際の衝撃波に比例することが分かって来ています。衝撃波がチリを巻き上げてしまうようなイメージでしょうか。

半導体製造装置は真空装置を使うため衝撃波はつきものですが、東京エレクトロンは衝撃波対策を行ったターボ分子ポンプを開発することでクリーンルーム内のパーティクル数を劇的に削減することに成功しています。

生産性予測へのAI利用

半導体の製造は人の目には全く見えないパーティクルの個数によって良品率が変わってしまいます。昔からこの良品率を改善しようとしてたくさんの努力がされましたが、まだ不良品を0にすることはできていません。

これと同じように良品率や生産数を事前に予測することは半導体メーカーには非常に重要なことなんですが、東京エレクトロンではこの予測にAIを応用しています。時流に乗っていますね。

半導体製造装置にはたくさんのセンサーが搭載されています。それらのセンサーは多くの種類のデータを常時出し続けます。昔は人間がデータから生産量を予測できましたが、今はプロセスの微細化が進み歩留まりの原因が複雑になっているため、生産量の予測が難しくなっています。

AIを導入することで多くのデータから生産量を予測できるようになってきています。また、AIの予想を基に生産量を最大化するような生産計画を立てることもできます。

まとめ

半導体の需要はスマートフォンの製造が長い間牽引してきましたが、スマートファン需要はこのところ一段落した感じがあります。今後は自動運転が半導体需要の中心になるのかもしれませんが、今後の半導体需要が上向きになるのか下向きになるのかは予測が難しいところです。

投資をしている方からすれば、今後も需要が続いてほしいです。そのために東京エレクトロンの今後にはとても注目しています。私の友達もリストラに合わないよう半導体業界には頑張ってもらいたいですな。