AIの注目企業 NEC

2022年7月15日

前回AIの注目企業としてPKSHAの記事を書きました。

・人工知能の注目企業 PKSHA Technology

ここ1年くらいPython+Colaboratory+Tensorflowをいじくっていますが、ガッツリと取り組まないとなかなか攻略が難しいです。

しかし、自分の中でAI(ディープラーニングですが。)のできること、できないこと、がはっきりしました。これは今後の業界動向の話に活かせるぞ!と思いましたので追加でAIの業界動向を書いてみます。

1番露出度が高いのは「NEC The WISE」か・・・

AIだとIBMのワトソンとかが有名ですが、日系企業でAIブランディングに1番成功しているのはやはりNECの「NEC The WISE」でしょうか。AI分野で大手企業を紹介するのはちょっと気が進みませんが。

NEC The WISEとはNECの持っているAI技術群の総称です。NECのAIブランドと考えるとわかりやすいです。

余談ですが、AIにThe WISE(賢者)とか名前つけると私のような40代のエヴァンゲリオン世代のおじさんには「ついに時代が〜」みたいな感動を与えます。

The WISEのできることをみてみると、センシングだとか、データの見える化、コンサルティングなどAI単体のサービスと言うよりは、デジタルデータに関数するビジネス全般みたいな形です。その一部でAIを利用するみたいな。

これはNECが以前から持っていたサービスにAIを取り入れてサービス全体をThe WISEブランド化して先端技術イメージを付け加える。といった戦略に見えます。うまいやりかたです。

とはいえThe WISEの応用事例などを見ると従来技術では難しかった課題を解決しています。個別の事例について見てみましょう。

RAPID機械学習

RAPID機械学習は以前からあった商品ですが、2018年6月に強化版が発売されています。この製品の特徴は画像による良品、不良品の二項分類を良品のサンプル画像だけでやってしまうということです。

機械学習の原理についてはPKSHAの記事で書きましたが、良否判断の二項分類を行う前にはモデルを作る必要があり、モデルを作る際に良品と不良品のラベルが必要になります。

確かに良否判断を行う際には良品のサンプルは大量に準備することができますが、不良品のサンプルを準備するのが困難です。1000とか10000とかあれば理想ですが、月に数個不良が発生する製品だと100年くらいかかり、現実的でないです。

この問題は実際の現場ではよくある問題です。私も仕事で同様の相談を受けたことがあります。電子部品の工場でしたが、製品の良否判定を電気特性試験でなく画像処理で行いたいと。そのとき提示された不良のサンプルは20データでした。

この相談では他にも難しいポイントがあって機械学習は行いませんでした。でも、同じような需要って全世界の工場であるのでは?

詳しい技術は公開されていませんが、モデルを作成したあとの評価の際には不良のサンプルが必要になるようです。これでも不良サンプルを準備する手間は劇的に改善するのでしょう。

インバリアント分析技術

インバリアント分析では工場の機器などに取り付けたセンサーから故障の前兆動作を探し出し、故障の前に故障対処を行うための技術です。

これ、昔富士通のHDD RAIDシステムでありましたよ。HDD故障の前にデータをコピーするってやつ。

この分析技術は発電プラントや宇宙開発など、機器を止められない現場の運用に役立っているようです。

(これ、交換頻度が増えるんで、コストは悪化するんですよね。現場のニーズにより良し悪しがありますね)

顔認証 NeoFace Cloud

NECの顔認証です。従来もありましたが、システムをクラウド化することで端末に個人情報が残らない、またセキュリティ的にも性能が向上しています。

認証はスマホのアプリで可能です。デバイスにかかるコストが削減できるので、中小の小売店をターゲットにしています。

また位置情報も提供しているのでA地点→B地点などの顧客動線も分析することができます。

まとめ

今までのソフトウェアメーカーは設備投資が少ないのでベンチャー企業でも大手に対抗することができました。しかしAI分野は研究能力やある程度の人力が必要なのでやはり大手が有利です。

PKSHAみたいなところもありますが、データ収集→分析→コンサルまでできるところを考えると、AI銘柄の本命はやはり大手になってしまいます。不本意ですが。

大手の中でもNECはAIブランドもうまく確立しているし、日系AI企業のトップランナーで間違いないでしょう。