【2021年度】Visual Studioの無償ライセンスと商用利用について

2021年9月2日

このブログではプログラミング+計器制御で自動計測を行う方法を紹介しています。

計器の自動制御にはC#とGPIB制御が一番良いと思っています。C#はMicrosoft製だからWindowsとの連携もよく、GPIBは古い規格ですが普及率No1で、現時点(2021年)ではベストな組み合わせです。

最近、Visual Studioに代わる可能性があるものとしてVisual Studio Code(以下VSCode)が出てきました。VSCodeはエディターですが、拡張機能でコンパイラをインストールできるので主にソフト開発で使われています。

その代わりか分かりませんが、Visual Studio Expressが開発終了になっています。Visual Studio ExpressはVisual Studioの機能制限無料版ですが、使用制限が緩いので私はずっとこれを使っていました。残念です。

Expressが開発中止になってしまったのを機に、Visual Studioのライセンスについて調べたので、この記事にまとめておきたいと思います。

Visual Studioのライセンス

この記事を書いているのは2021年春で最新のVisual Studioは2019ですが、現在Visual Studioのライセンスは次の種類があります。

  • パッケージ版(買取版)
  • サブスクリプション版
  • 無償版 (Visual Studio Community)

Visual Studioのライセンスは人単位で管理されます。使用者が同じであればインストールするPCは何台でも大丈夫です。逆に複数人で使用する場合は、PC1台でも人数分のライセンスが必要になります。

それぞれの機能や制限を見ていきます。

パッケージ版

昔はみんなパッケージ版でした。現在はVisual Studio Professional単体版だけの販売になります。価格はだいたい6万円台です。結構安いです。

残念ですが、パッケージ版は購入したバージョン以外は使えないしアップデートもできません。

機能制限があるようですが、実物が手元にないのでどんな制限なのかはちょっとよく分りません。後々購入してみようと思っていますので、詳細が分かったらこのブログで紹介ます。

サブスクリプション版

Visual Studioの主力は完全にサブスクリプション版に移行しました。サブスクリプションとは定期的に料金を支払う利用形態です。

サブスクリプション版は全てビジネス用途と考えて良いです。ソフトウェア開発が中心の組織ならばサブスクリプション版を買わないとダメです。

申し訳ないですが、ビジネス用途のサブスクリプション版を調べている方は直接マイクロソフトに問い合わせてください。この記事ではサブスクリプション版の説明については省略させてもらいます。

無償版

Visual Studioは大きなコストをかけて作られたソフトですが、いくつかの無償版が存在します。(しました。)コストがかかっているにもかかわらずMicrosoftがVisual Studioの無償版に力を入れるのはVisual Studioの普及がWindowsの販売に貢献するからでしょう。

取れるところからは料金を取るが、無料であってもできるだけ広く使ってもらいたいという思惑があり、無償版のライセンスは使用条件が細かいです。注意が必要です。

最新の無償版は「Community」

現在Visual Studioは2019が最新ですが、2019の無償版はVisual Studio Communityのみです。Communityは機能を見るとVisual Studio Professionalと同等です。Professional 同等品がタダとは驚きです!

Communityは主に非商用のライセンスなんですが、次の条件を満たせば商用でも使うことができます。

  • 個人で使用
  • エンタープライズでない組織のメンバーが5人以下で使用

エンタープライズとは

マイクロソフトの定義ではエンタープライズとは、「合計で (a) 250 台を超える PC がある、もしくは 250 人を超えるユーザーがいる、または (b) 年間収益が 100 万米ドル (もしくは他の通貨での相当額) を超える、組織およびその関連会社」のことです。

私の組織も(a)(b)をクリアできそうだったんですが、「関連会社」も含まれてしまうのでマイクロソフトの解釈次第ではエンタープライズになりそうです。このような理由でCommunityの使用は断念しました。

一世代前の無償版は「Express」

Visual Studio 2017まではExpressと呼ばれる無償版がありました。MicrosoftはExpressの開発は2017バージョンが最後と明言しており、最新の2019では提供されなくなりましたが、まだダウンロード、インストールすることができます。

Expressは次のリンクからダウンロードできます。

ダウンロードの時に「最新のCommunity版が出てるのに、それでもExpressをダウンロードするの?」と聞かれますが、無視します。

Expressは機能制限が掛けられており、Professionalでできる一部のアプリケーションとライブラリの開発ができません。その代わり使用制限は無く商用のソフトウェア開発でも使用できます。

Expressはソフトウェア開発に本当に使えるか?

「本当に使えるのか」は2つの意味で書いています。1つはExpressの機能がソフトウェア開発に対して十分か。もう1つはライセンスが商用ソフトウェア開発に使用できるかです。

Expressの機能

Expressは機能制限があり一部のアプリケーションの開発ができません。また、Microsoftのサポートが受けられないことや、すでに開発が終了してしまっていることなど有料版に比べたらいろいろ心配なことがあります。

しかし、このブログで紹介しているような計測器制御の用途であれば不足を感じません。むしろフリーのソフトウェア開発環境の中ではトップクラスだと思います。

Expressの開発が終了してしまったことはとても残念ですが、まだ4,5年は使えるだろうと思っています。

Expressのライセンス

いろいろなサイトにExpressで商用ソフトウェアを作って良いと書かれているんですが、Microsoftが明確に許可を出している文書は見つかりません。ただし明確にダメと言っている文書も見つかりませんでした。

唯一、ライセンスについてはVisual Studioのホワイトペーパーに書かれていました。ホワイトペーパーの中には「Visual Studio Express は、運用目的のアプリケーションの構築に使用できます」と書かれています。

この書き方だとExpressが販売目的のアプリケーションの構築に使えるかどうかは分かりませんが、社内の計測器で自動計測を行うためにアプリケーションを構築することは問題なさそうです。

そういった理由で私は今でもVisual Studio Express 2017を使っています。

まとめ

この記事ではVisual Studioの無償版ライセンスについて説明をしました。Visual Studioの無償版はExpressが廃止されてCommunityという形で継続していますが、残念ながら会社でちょっと使うという用途には難しくなってしまいました。

現状はまだExpressがあるのでそちらを使うのが最良だと思いますが、いつまでも使えるわけではないでしょう。PCのOSもWindows一択ではなくなってきていますので今後面白い開発環境の出現を期待したいです。