世界シェア70%のダイシング装置メーカーDISCOの技術紹介

2021年2月16日

2021年始の相場は半導体需要でにぎわっています。コロナ禍の在宅勤務の影響でパソコン、通信装置、サーバーなどが好調で、半導体が不足気味だそうです。そのせいで自動車製造が遅れたりしているようですが、やはり半導体はまだまだ伸びしろがあります。

今回題材にしているDISCOは世界シェア独占の半導体銘柄として有名ですが、技術的に何がすごいのかあんまり理解できていません。いい機会なのでDISCOの技術を深堀して紹介したいと思います。

DISCO生い立ち

DISCOは1930年台に呉市の砥石メーカーとして立ち上がっています。意外とご長寿ですね。その際の社名は第一製砥所でした。

その後東京に出てきて買収やら戦争による休眠やらを経験して精密加工の方向に進んでいきます。万年筆の割を入れるための砥石などを作っていたようです。

1977年に社名をDISCOに変更します。多分Dai Ichi Seito Corpなんでしょうね。センスいいと思います。このちょっと前からですが、極薄の砥石の開発に成功し、半導体ウエハーの切断に使われるようになって行きます。

1990年台からは日本が半導体で世界のトップに君臨していた時代でしたが、ここで世界最高峰の装置をバンバン開発していきます。

残念ながら2020年、国内の半導体メーカーはほぼ全滅となってしまいましたが、DISCOの切削装置は相変わらず世界でNo1のシェアを維持しているというところまでが現状です。

世界シェア70% 切る、削る、磨く装置とは?

DISCOの製品は半導体製造の工程で使われる装置です。日本の工業は半導体製造よりも半導体製造装置に強みがありますが、DISCOはその代表的な企業です。

DISCOの製品は大まかにダイシング、グラインディング、ポリッシングの3つに大別できます。

ダイシング

まずダイシング装置の世界シェアは7~8割で、DISCOの主力製品です。半導体は大きなウェハと呼ばれるシリコンの板の上にたくさんの回路を製作していきます。回路ができたところで切り離すのですが、この時にダイシング装置が使われます。

DISCOのダイシングソーはこの切り離しを0.001 mm単位で制御し、1 mm四方以下の基板にすることができます。従来ダイシングはウェハを最後まで切らずに少し残して最後に割っていたらしいですが、DISCOの装置がミクロン単位で制御できるようになってので一発で最後まで切り分けるようになりました。

この分野ではDISCOの他に東京精密などの日本企業が多いですが、これらの日本企業だけで世界のシェアのほぼ全てを占めています。

グラインディング

次にグラインディング装置ですが世界シェアが6~7割です。半導体は製造の過程で何度も表面を削る工程があります。この削りをするのがグラインディング装置です。

半導体はウェハの上にちょっとずつ半導体を積み上げていくんですが、途中で不要な部分を削ることもあります。この削りはグラインディング装置でウェハ全体を削るのですが、アライメントが狂っていると右端と左端の厚さが変わってしまいます。ウェハの直径に比べて半導体の厚さは超微小なのでこの精度が重要です。

DISCOのグラインディング装置は0.005mmの厚さまでウェハを削ることができます。またこの時の精度は±0.0015mmです。これはウェハ上のどの点でも±0.0015mm以内に収まっているということです。ちなみにコピー用紙の厚さが約0.1mmなので、コピー用紙を1/10の厚さに削れるほどのすごい精度です。

ポリッシング

最後にポリッシング装置ですが、これも世界シェア6~7割です。ポリッシング装置とは半導体ウェハ表面を研磨する装置です。

半導体はウェハ表面に光で回路を書いて製造されています。回路の微細化がどんどん進んだために光の照射精度もどんどん高くなっています。当たり前ですが、表面がデコボコになっていると光の焦点がきれいに結べないのでウェハ表面は可能な限り平坦に研磨されます。

DISCOのポリッシング装置はウェハの表面を鏡のように研磨できます。研磨技術の数値的な評価が見当たらなかったので何とも言えませんが、とにかくツルツルにします。

企業業績と展望

この記事を書いている日は2021年の2月ですが、この1年日本の経済は新型コロナウィルスに大きな影響を受けました。今も関東圏では非常事態宣言が延長されています。

このように経済活動が抑制されている中でも、半導体分野は急伸しています。通勤が多い地域の企業ではリモートワークが主流になりましたが、自宅パソコンや通信設備の需要が増えたために高機能な半導体の生産が増えています。このような流行は世界的に起きています。

実はDISCOはコロナ禍の前の2017年から最高益を更新しています。2020年度はちょっとへこんでいますが2021年度の予想は再度最高益を更新する予定です。また今後も半導体の生産量は増加傾向が良そうされていますので引き続き売り上げを伸ばすと見られています。

車載用半導体

コロナワクチンの完成と一緒に自動車の生産がうなぎ上りに増えています。これはコロナ禍での外出や新車の購入を控えていた人たちが一斉に買いに回っているからです。

しかし、この増産が必要な時期に重なって、車載用半導体の不足により自動車の生産量が制限されてしまっています。昔は自動車に半導体なんてほとんど載っていませんでしたが、現在の自動車はハイブリッドなどの電子制御が増えたために半導体無しでは生産ができなくなってしまいました。

(しかも2月13日に起きた福島宮城沖地震でルネサスの東北工場が操業を停止しています。)

自動車業界、特にトヨタはジャストインタイムを採用しており、生産が必要な時に必要なだけ部品を購入しています。しかしこの方式では部品メーカーの在庫調整が難しく、需要の急減急増が起こった場合でも供給が滞らないような強い生産体制の構築が急務です。

その上に自動車業界では自動車の電動化が進んでいます。説明の必要もなくガソリン自動車が電気自動車に置き換わると半導体の割合も増え、また充電設備の周りに必要な半導体も増えます。

自動車メーカーでは半導体の生産体制を増強することが喫緊の問題であり、その工場には必ずDISCOの設備が導入されます。日本の自動車メーカーがどうなるかは別としてDISCO製品の需要は今後も増加傾向でしょう。

最後にまとめ