電気の「直流」「交流」の違い
電気を一番簡単に分割すると「直流」と「交流」に分けることができます。グラフや式で表すとうんざりする人もいると思いますからこの記事では例え話で解説します。
直流を自転車のチェーンに例えてみる
電気は目に見えないので、直流交流とか言われても直感的に理解できません。だから電気を身の回りの何かに例えてみます。
まず、直流ですが、直流の場合は自転車のチェーンをイメージします。
自転車のチェーンはクランクの回転する力をホイールに伝えています。電気も同様にある場所からある場所にエネルギーを伝える役割をします。
チェーンは前のギアに引っ張られて後ろのギアに動力を伝えた後は、たるんだ状態でまた前のギアに戻ります。大きなエネルギーを伝えたい場合は強い力でクランクを回します。
直流も同じで、2本の電線をつなげると片方は行きの線、残りの片方は戻りの線になります。相手に大きな電力を伝えたい場合は大きな電圧を電線に加えます。
交流をのこぎりに例えてみる
では交流はどうかというと、直流とは違って電気が電線の中を行ったり来たりしています。これはのこぎりに例えてみます。
のこぎりは刃先に力を伝えるために歯を前後に動かしますが、歯を動かす量と動かす速さ(行き来の切り替えの速さ)は別々に決めることができます。歯を動かす量は交流の振幅、歯を動かす速さは交流の周波数に当たります。
大きなエネルギーを発生したい場合は歯を大きく動かします。高い周波数が必要な場合は歯の行き来を小刻みに行います。
電流を水道に例える
電気の流れる量は電流(アンペア)という単位で表しますが、交流電流は水道に例えてみます。
あなたが水道の蛇口をひねると水道から水が出て、1秒間で1リットルの容器をいっぱいにします。
これは直流電流と一緒です。直流電流はいつも同じ量の電気が同じ方向に流れていて流れの速さをアンペアで表します。
これが交流電流の場合はどうなんでしょうか。
交流の水道の蛇口を開けるとはじめは勢いよく水が出てきます。しかし、水の勢いは途中で止まって今度は水が蛇口の中に向かって流れ始めます。出てきた分を全部吸い込んでもともと容器の中にあった分まで蛇口の中に吸い込まれます。しばらくすると勢いが止まりまた蛇口から水が出始めます。
ちょっと普通のイメージではないですね。
なんで交流と直流があるのか?
直流は理解するのは簡単です。でも交流はちょっと難しいかな。では、なんで交流のような面倒くさい方法が使われているんでしょうか。
2つの電気の種類は発電の方式を考えると何となく理解できます。
電気を作る一番簡単な方法は電池です。電池は内部の化学物質を使って+端子とー端子の間に電圧を作っています。
電池は化学物質の電気を起こす力を利用するので、直流電圧を発生します。だから電池を使うライトや小型の電子機器とかは直流の装置です。
でも、電池で電気を起こすには電気を充電しないといけません。結局電池は電気をためることはできても作り出すことができないんです。
電気を作り出すには発電機を使います。発電機はコイルに磁石を近づけたり遠ざけたりすることで電力を得ます。近づける時はプラス、遠ざける時はマイナスの起電力が発生するので、これを繰り返すと交流になるのです。
また交流は変圧器で電圧を上げたり下げたりが直流より簡単にできます。交流は電気を作るときと電気を送るときには直流よりも簡単に取り扱うことができるのです。
直流と交流は相互に変換できる?
実は直流と交流は交互に変換できます。しかし変換では両方向で変換ロスがありますので、電気はできるだけ変換が使われないように運用されています。
直流から交流への変換
直流の電気を交流へ変換する装置をインバーター回路と言います。インバーター回路は直流の電気を下のグラフのようにすごい速さでON,OFFして交流を作り出しています。
交流の谷の部分ではON、OFFの切り替えの際にOFFが多くなるようにします。逆に山の部分ではONが多くなるように切り替えます。この時点で出力は図の黒のような線ですが、ローパスフィルタという平滑化装置を使うと赤の点線のようになめらかな交流になります。
交流から直流への変換
交流を直流に変換するにはダイオードを使った整流回路を用います。
ダイオードは電流を一方にしか流しません。水道の弁のような働きをします。このダイオードを交流電源と負荷抵抗の間につなぐと電圧が+の時だけ電流が流れます。電圧と電流の関係は図のようになります。
この電流を平滑化回路に通せば直流が得られるんですが、ちょっと効率が悪いので、普通はしたのようなブリッジ回路を使います。
この回路の方が結果が直流に近くなります。
直流と交流はどっちが良いの?
直流と交流を比較した時にどちらが良いということはありません。使用方法によってどちらもメリットがあります。使い分けが大事です。最後に直流と交流の特徴をまとめておきます。
直流の特徴
- 電池の発電で得られる
- 精度が出しやすい
- 比較的小さい電力の機器に使用される
- 昇圧、降圧しにくい
- 雷、静電気は直流
- 自分はやっぱり直流電圧が好き
交流の特徴
- 発電機を使った発電から得られる
- トランスを使って昇圧降圧しやすい
- 大きな電圧電流を扱いやすいので送電に使われる
- 家庭用電源は交流、東日本は50Hz、西日本は60Hz
- 直流は2線だけど交流は3線、4線~ある。
おしまい。