何故か佐賀に注力?オプティムのエッジコンピューティング

2022年7月15日

最近エッジコンピューティングというテーマが流行っています。その中でオプティムという会社の名前が上がっていますが、私はあまり知りませんでした。しかし、このオプティム。なかなか面白い企業のようです。今日はオプティムの技術について研究をしてみます。

オプティムの事業分野

四季報で見るとオプティムの事業はスマホ端末サービス、AI、ロボット、画像解析、先端医療、ソフトウェア開発などいろいろやっています。何屋かよくわかりません。この記事ではエッジコンピューティングをやりますが。。。

事業所は東京本社と佐賀本店九工大前オフィスがあります。本社と本店が別にあるってどんなんでしょうか?佐賀とはなにか縁があるようです。

何故か佐賀?

オプティムについて検索すると何故か佐賀が大量にできます。少し調べただけで以下の協業があります。

  • 佐賀県白石町
  • 佐賀県警
  • 佐賀大学
  • 佐賀県多久市
  • 佐賀銀行
  • (あと多分佐賀県と九州電力)

なぜ佐賀なんでしょうか?創業が佐賀?企業HPの沿革では見つけれませんでした。

(追記)Wikipediaに有りました。オプティムは佐賀県佐賀市が創業地でした。佐賀との協業は創業地への恩返しと考えればいいでしょうか。

オプティムの技術

オプティムは医療用の画像解析やドローンによるスマート農業などの分野が強いです。これらはAIサーバーによって画像解析を行いますが、医療機器やドローンは現場の装置で、映像データをAIサーバーに送信することに難があります。そのため現場装置でAIの処理(または前処理)をしようというのがエッジコンピューティングです。

オプティムはこの分野であのNVIDIAから協力を得て、組み込みスパコンによるエッジコンピューティングを実現しました。

「OPTiM Cloud IoT OS」、画像解析分野において世界初のモジュール型組み込みスーパーコンピュータ「NVIDIA Jetson」と連携し、エッジコンピューティングによるデータ処理の最適化を実現

このリンクちょっとずるいですよ。「世界初」に注意です。(世界初の組み込みスパコンJETSON)を使ったエッジコンピューティングです。私は世界初の(JETSONを使ったエッジコンピューティング)かと思いました。世界初なのはJETSONであってオプティムのエッジコンピューティングではないです。

どちらにしろNVIDIAと協力してエッジコンピューティングを実現ということはすごいことですが。

世界初の組み込みスパコンJETSON

ここでJETSONについて説明しておきます。

JETSONはNVIDIAが開発したシングルボードコンピュータです。NVIDIAはGPU(グラフィックプロセッシングユニット)の開発製造を行っており、GPUはAIの計算に適していることが知られています。というかAIにはGPUが必要です。

Jetson Nano
オプティムの発表時はもう少し大きなモジュールを使っていたと思われる

世の中のAIサーバーはこのNVIDIAのGPUカードを何枚も搭載してAIの計算の高速化を図っています。普通は設備の規模から高さ2mくらいのラックに収容してデータセンターに設置されています。

しかしAIの周りにはIoTやビッグデータなどのキーワードが有り、これらはセンサーやロボットに応用されるものです。例えば車載カメラの3DデータをデータセンターまでアップロードしてAIで処理してハンドル操作をさせるというのはさすがに効率が悪いです。

5G通信のインフラも整って来てはいますが、AI本体はセンサーやロボットなどが可動する現場にあったほうが良いということが分かってきました。JETSONはそのための組み込み用AI専用コンピュータなんです。

OPTIMのエッジコンピューティング

具体的にOPTIMがJETSONをどのように使っているか、OPTIMのウェブサイトに例が有りました。

OPTiM Cloud IoT OS」での「NVIDIA Jetson」の活用例
【ドローンの場合】
● 自動航行
障害物の緊急回避
移動体をスムーズに自動追跡
自動航行に必要な情報(GPS情報等)が取得できない状態の時でも、道路形状などを判定し航行が可能
【ネットワークカメラの場合】
● 物体検出
オフライン時でも正常な判別
獣害対策
不審者検知時の即時反応

OPTIMはスマート農業の分野でドローンでピンポイント農薬散布や育成状況把握のサービスを展開しています。このドローンにJETSONを載せて自動航行に役立てるイメージですね。

しかし、この技術はものすごい可能性を秘めています。ドローンの障害物回避なんて日本中にいくらも需要はないですが、これがもし自動車の自動運転だったら?

ドローンに比べ自動運転車は金額的にかなり大掛かりなAIを搭載できます。また電力が重量の縛りもドローンよりも緩いです。センサーも複数使用できるので高速演算のメリットも大きいです。

断言できますが、OPTIMのエッジコンピューティングの真の市場は自動運転です。

まとめ 今後のOPTIMのエッジコンピューティング

OPTIMのエッジコンピューティングは絶対自動運転を意識していますが、日本の大手自動車メーカーはこの辺の技術はすでに自前で研究を進めています。ここからOPTIMが入っていくのは難しいのかな?とも思います。

でも自動運転でトヨタに張るより、OPTIMでしょう。仮に大手自動車メーカーと共同研究契約とかなったらOPTIMの利益は計り知れません。忘れないように覚えておこうと思います。