いろいろな電気抵抗率の測り方

2022年12月6日

開発や品質管理において、電気の流れにくさを表す電気抵抗値(以下抵抗値)は重要な指標です。

抵抗値には材料の特性を適切に表すために、いくつかの表現があります。また、その表現ごとに最適な測定方法が異なっています。

この記事ではいくつかある抵抗値の表現について説明し、各方法の最適な測定方法について説明します。

抵抗値の測り方

材料開発における電気特性値には、体積抵抗率及び表面抵抗率が用いられます。

抵抗値は電圧や電流と異なり、受動的な特性です。そのため、抵抗値を求める際には、抵抗に電流を流して発生する電圧を測定します。

$$E=IR$$

流した電流と測定した電圧をオームの式に代入し、抵抗値を得ます。

抵抗値は一般的に材料の特性評価に使用される指標ですが、測定については留意しなければならない点があります。

抵抗値を評価する際に、対象の形状、寸法、電極の取り付け位置等で抵抗値は変わるため、単純に抵抗値だけでは特性を評価できない場合があります。

例えば、円柱状の試料は、長さや断面積が変われば抵抗値は変化します。

このような形状や寸法の影響を取り除き、物質固有の特性を比較する絶対的な尺度として、抵抗率と呼ばれる値が用いられることがあります。

抵抗率

電気の流れにくさの指標としての抵抗値は電流に対する電圧の値から求められます。

抵抗率\(\rho\)は比抵抗値とも言われ単位体積当たりの電流の流れにくさを示します。

一方で抵抗率は、試料の抵抗値を測定し、形状に応じた計算をすることによって得られるため、測定時には試料の抵抗値と寸法を測る必要があります。

そのため、対象がどのような形状であっても、ゴムや樹脂、金属など様々な材質の特性により同じ数値をとるので、電気的特性を評価する際には抵抗率が用いられます。


抵抗率は、直接的に形状等を考慮した測定ができないため、試料の抵抗値を測定後、抵抗率に換算します。そのため、換算の際必要な、長さや断面積等の寸法をあらかじめ測定します。

ここで説明した抵抗率とは一般に体積抵抗率と称し、単位については、\(\Omega ・ m\) を用います。

表面抵抗率

抵抗率は物質固有の値であり、形状、寸法、電極の取り付け位置などの影響を受けません。

一方で、試料表面に流れる電流の流れにくさを評価する場合もあります。例えば、絶縁体上に形成した導電性薄膜では試料(導電性薄膜)の厚さを考慮せず表面積のみを考慮した抵抗率を使います。


これを表面抵抗率またはシート抵抗率と呼び、単位は \(\Omega / □\)(スクウェア:抵抗値 \(\Omega\) と区別するためにこの表記が用いられる)が使われます。

また、絶縁体では表面上を微小電流が流れることがあり、これに対する評価にも表面抵抗率が用いられます。

実際の抵抗率評価では、さらに抵抗値の大きさも考慮して、測定方法を選択する必要があります。

低抵抗測定方法(4端子法)

導電性材料や金属のような低抵抗材料の測定は、試料と電極の接触抵抗やリード線の抵抗値による影響を考慮しなければなりません。そこで、電流源で一定の電流供給を保持した状態で 4 端子法を用いて電圧を測定します。

また、薄膜もしくはシート状試料の表面抵抗率を測定するためには、4 探針法が用いられます。

4 端子法では均一な断面積をもつ棒状の試料を用います。図 1 に示す 4 端子法では外側 2 本の端子の組で試料に電流\(I_S\)を流し、内側 2 本の端子の組で電圧\(E_m\)を測定します。

内側の端子で電圧を測定することで、接触抵抗やリード線の抵抗値𝑟ଵ~𝑟ସによる影響も無視することができます。よって試料の抵抗値\(R_V\)は、式\(R_V =E_m/I_S\)より求めることができます。

ここで電圧端子間距離を\(L\)、断面積を\(S\)とし、体積抵抗率\(\rho_V\)は次の式によって求めます。

$$\rho_V = \frac{s}{t} R_V$$

4探針法は評価したい試料の表面に 4 本の探針を押し付けて、前述した 4 端子法と同様に電流と電圧の関係を評価します。試料の表面が 4 つの探針の配列に対して十分に広い平面であれば、試料の形状は測定結果にほとんど影響を及ぼさないため、電流と電圧の関係から表面抵抗率を求めることができます。

高抵抗測定方法

ゴム、樹脂等の絶縁性の材料は電流が流れにくいため、数百 V 以上の高電圧を印加する必要があります。一方で試料に流れる電流は微小であり、後述する漏れ電流の影響を排除しつつ測定する必要があります。そのため定電圧源と、図 2 に示す、2重リング電極法を用います。2 重リング電極法では平面状の試料を用います。

体積抵抗率測定


体積抵抗率測定では、通常、図 のような主電極及びリング電極、対向電極を用い測定します。

電圧\(V\)を試料上部の電極(対向電極)に印加し、点線矢印のように試料に流れる電流\(I_m\)を測定します。

抵抗値\(R_V\)は、オームの法則より、式\(R_V=V_S / I_m\)から計算します。

試料の表面及び側面を伝ってリング電極に流れる漏れ電流と対向電極から試料内部を通り、リング電極に流れる電流は、図3 ように電流計を通らず\(V_S\)側に流れ込むので、\(R_V\)の計算に使用する測定電流\(I_m\)の大きさには影響を与えません。

ここで、\(s\)は主電極の有効面積であり、\(t\)は試料の厚みとし、体積抵抗率\(\rho_V\)は以下の式から得られます。

$$\rho_V = \frac{S}{L} R_V$$

表面抵抗率測定


表面抵抗率測定には、通常、図 4 の構成で測定します。

電圧源\(V_S\)をリング電極に印加し、点線矢印のように、リング電極から主電極に向かって試料表面上を流れる電流 \(I_m\)を測定します。


表面抵抗値\(R_S\)は、式\(R_S\ = V_S / I_M)から計算します。


リング電極から対向電極に流れる電流は電流計に流れ込まないので、測定電流 \(I_m\)には影響を与えません。

ここで主電極の外径及びリング電極の内径の平均長さを\(L\)、主電極とリング電極の間隔を\(𝑊\)とし、表面抵抗率\(\rho_S\)は次式によって計算します。

$$\rho_S = \frac{L}{W}R_S$$