計測器の定期校正ちゃんとやってますか。校正試験でひどい目にあった話

2022年1月21日

私は会社で校正試験の担当をしています。

Googleで「校正」を検索すると文章校正がトップに出てきますね。校閲ガールちょっとはやりましたもんね。

この記事はその校正でなくて計測器の校正です。

私は勤めている会社で校正試験の担当を10年続けました。

10年もやりましたんでいくらかノウハウも身につきました。

ここでちょっと記録に残しておこうと思ってこの記事を書いています。

機器校正はISO9001とか14001とか9100とか17025とかとっているところには必要ですが、

まあ、好んで検索する人いないですよね。

いいです。誰も読んでないのは知っているので。

世の中で超マイナーな校正っていうお仕事についてしまった人にちょっとでも役に立てればと思って書きますので、読んでください。

1 校正試験とは何か?

はじめにですが、校正が超マイナーゆえに校正とは何かについてから話さなければならないでしょう。

校正試験とは一番端的に言えば、長さや、重さ、電気の計測器がどのくらいずれているかを試験することです。

旧字体では較正、英語ではCalbrationです。

校正試験では校正したい機器よりも精度の高い標準器をはかり、校正したい機器の測定精度を確かめます。

標準器をはかることで、構成したい機器がどのくらいずれているのか、複数回の計測でどのくらいばらつきがあるのかなどがわかります。

2 なぜ校正試験をするか?

校正試験をする理由は測定器の精度保証するためです。これは製造業の製品の性能を保証することにもなります。

計測器は時間とともに測定性能がずれていきます。実はものさしなんかも厳密に言うと時間とともに性能が変わっていきます。

ISO9001などの国際規格では製品の検査に使う計測器について定期的に校正試験を行うことが義務づけらています。

ちゃんとやってますか?監査で大変な目にあいますよ。

校正試験の話をするときは校正試験が規格化されたきっかけのひとつにもなった宇宙開発の件についての例がわかりやすいです。

NASAが宇宙開発を始めたときに航空機の部品を全米または海外から調達する必要がありました。しかし、調達した物品はそれぞれ少しずつ寸法が強度が違っていて、航空機全体をうまくくみ上げられなかったそうです。

そこでNASAは航空機の品質規格を統一し、それぞれの部品が同じように高い品質であることを保証できるようにしました。

現在では、海外に製品を輸出する場合は出荷検査と同時に検査に用いた計測器の校正試験記録を要求される場合が多くなりました。

3 校正試験は何が必要か?

校正試験を行うにはより精度の高い標準器が必要になります。この標準器も校正試験を行ってズレを事前に知っておく必要があります。

ではその標準器の校正試験はどうやるんですかね?

やはり標準器を校正する標準器があって、その標準器も校正を受けています。そうやってどんどんさかのぼっていくとやがて1つの標準器に行き着きます。

それが国家標準です。

国家標準は基本的には各国に1つです。

それで各国の国家標準は定期的に国家間試験を行って各国の国家標準が基本的には同じような精度になっていることを確認しています。

こういう仕組みがあって日本で買った物差しとアメリカで買った物差しが同じ長さになるわけです。

これを読んでいる方で校正しないといけないという方もいるかもしれません。自分で標準器を用意するのもいい方法なのですが、通常は近くの校正機関に計測器を持っていって校正してもらうのが普通です。

4 校正試験はなにに役立つか?

ここまで書いてきましたものを読めばわかるかもしれませんが、校正試験は企業の製品の精度管理に役立っています。

よく聞く話ですが、出荷検査に使っていた計測器が壊れていた!どのくらい前から正しく測れていなかったかわからない!なんてことがあったりします。

どんな製品かにもよりますが、車とか人命にかかわるようなものだと、リコールなんてこともあります。

検査用計測器を校正していなければ、どの期間の製品がリコールになるかわかりませんね。販売したもの全部回収なんてなったら、会社はどうなってしまうんでしょうか。

まあ、そのような会社は検査用計測器の定期校正は必ず行っていると思います。どのくらいの期間で校正するかはリスクとコストのバランスによりますが。

私も最後の校正日を調べてその後のお客さんをリストアップしたことがありました。超後ろ向きな作業ですよ。泣きましたよ。もうやりたくないです。

でも計測器の故障などは必ずおきますので、その際は定期校正が役に立つってことです。

まとめ

この記事では計測器管理の一番初めとして、校正試験について書いてみました。

これから少しずつ書き足して計測器管理の担当者さんに使ってもらえる役に立つ記事を出して生きたいと思っています。

こんな内容でどのくらいの人に読んでもらえるか疑問ですが。

皆さんも参考にしてください。